ガラス繊維の技術

ガラスクロスは用途に応じて各種の加工が行われます。製織の前に行われる整経工程から順にガラスクロスの加工について、ご紹介致します。

●整経工程

ガラスクロスを製織する前の工程として、整経工程があります。

この整経工程では、製織に必要なタテ糸を準備します。

ガラスクロスの密度と幅に応じて、整経機からタテ糸をビームに巻き取ります。

タテ糸の巻き取られたビームを織機にセットして、製織します。

●ガラスクロスの織物組織

ガラスクロスは製品に求められる用途によって、様々な織り方があります。

平織   最もよく用いられる基本的な織り方で、タテ糸とヨコ糸を1本ずつ交互に交差させる織り方が特徴の織物組織です。
表面張りガラスクロスやその他多数の用途に用いられます。
綾織タテ糸が複数のヨコ糸をまたいで織られます。表面に斜線の模様が見える織物組織です。
平織より密度を多くする事ができ、生地に厚みを持たせる事ができます。断熱ガラスクロス等に用いられます。
朱子織綾織よりさらに柔軟性があり複合材料(FRP)用クロス等に用いられ、釣り竿やポール等複雑な曲面の成形品に適した織り方です。
その他にシリカクロスにも用いられます。
絡み織1本のヨコ糸に2本のタテ糸を絡み合わせる目がズレにくい織物組織です。
目が粗くなる織り方で目地テープ、シート等の補強用クロスに用いられます。
摸紗織タテ糸とヨコ糸をそれぞれ数本ずつまとめて、織られるため目ズレしにくい特徴があります。
アルミ濾過用クロスに用いられます。

●ガラスクロス各種処理

ガラスクロスが用いられる環境や用途によって各種の処理が行われます。

目止め処理         ガラスクロスの表面保護や目ズレ、ほつれの防止のため目止め処理が行われます。 また生クロスに比べて、取り扱い性が向上します。
撥水処理ガラスクロスに撥水剤を浸漬し、水分を弾く機能を付与する加工を行います。
着色処理ガラスクロスに黒色と灰色の着色処理が可能です。
ヒートクリーニング処理ガラスクロスに用いられる糸(ヤーン)には収束剤が付いています。ガラスクロス製織後に施される様々な処理において、 この収束剤が邪魔になる場合があります。そこで、ガラスクロスを焼成して収束剤を除去する加工を行います。
シラン処理ヒートクリーニング処理後に樹脂との相溶性を高めるために、各種シランカップリング剤をクロスに付与します。

●ガラスクロスその他加工

アルミ箔貼り加工     ガラスクロスの表面にアルミ箔を貼合します。一般的なアルミ箔の他に、アルミ蒸着フィルムやアルミ粉を貼合したものもあります。 用途は船舶用内燃機関、溶鉱炉、焼却等の排気管の被覆・高温場所の養生ならびに、空調用ダクトの継手に使用されます。
コーティング加工塩ビやシリコーン、PTFE等の樹脂でコーティングします。フィルムを貼合する他に、表面に樹脂をナイフコートしたり、ガラスクロスを樹脂に 浸漬させる方法があります。用途はテント、膜材料、断熱ジャケット、火花よけシート、空調用ダクトの継手等に使用されます。