毒劇物(劇毒物)とは?硝酸やシュウ酸は劇毒物?輸入するにはどうしたらよいの?
毒劇物(劇毒物)とは
劇毒物とは、化学物質の内の種類の一つです。工業薬品、農薬、試薬など多方面で用いられ、私たちの生活に役立っています。しかし、名前の通り毒性の強い物であり、少量でも身体を害する性質を持っています(正式には「毒物劇物」とする所が多いようですが、「毒」は言葉の意味が強いので、こちらでは劇毒物と記載致します)。
取り扱いには、盗難や流出などによる被害が起きないよう十分注意する必要があります。危険な物であることが誰でもわかるように容器には必ず「毒物」や「劇物」といったラベル表示をすることが義務付けられています。また、実際に取り扱うには貴方が所属している地域・自治体に取り扱うための登録をしなければなりません。「取り扱い」には実際に使用する場合、及び購入・販売する場合の全てが含まれます。
ここでは劇毒物を挙げましたが、他にも危険物や医薬品など化学物質は取り扱いに注意が必要なものが多々あります。「取り扱う上でどんな法律が決められているのか?」と疑問に思い、確認することが重要です。「化学物質名 適用法令」で出てきますし、SDSがあるならば日本の場合は項目15に大抵は適用法令が記載されています。適用法令に「毒物及び劇物取締法」と書いてある場合は、劇毒物です。
劇毒物の輸入をご検討の方、またはお急ぎの方は、以下問い合わせフォーマットからご相談ください。劇毒物の輸入ライセンスを持つ弊社がご相談を賜ります。
-シュウ酸/蓚酸(劇物)
蓚とは、タデ科のスイバを意味します。道端などに生え、草丈は60センチメートル前後。初夏から夏にかけて赤みを帯びた花を、花穂になってつけます。薬用にもできる食草で、ヨーロッパでも有名な野菜です。食べると酸っぱい味がするので、日本の地方ではスカンポとも呼ばれています。染料原料や漂白剤としても使用されます。
命名の由来となっているように植物に多く含まれる化学物質です。中国語では「草酸」と表現されています。
タデ科、カタバミ科、アカザ科(ホウレンソウなど)には水溶性シュウ酸塩(シュウ酸水素ナトリウム等)、サトイモ科の植物には不溶性シュウ酸塩(シュウ酸カルシウム)が含まれています。とろろや里芋が肌につくとかゆみを感じますが、これは両者がヤマイモ・サトイモ科であり、シュウ酸カルシウムの針状結晶が肌に刺さって刺激を受けるためです。
カルシウムイオンと強く結合する性質があり、体内に入ると血液中でカルシウムと結合して結石などを生じます。過剰なシュウ酸摂取は一部の結石の原因になるとも考えられており、尿路結石なんかがこれにあたります。
染料の原料、麦わら・木綿などの漂白剤として用いられるほか、二水和物の結晶が純粋に得られることを利用して酸アルカリ滴定及び酸化還元滴定の標準物質に使用されるなど分析試薬や化学薬品など多方面に用いられています。
シュウ酸や硝酸の輸入をご希望の方は、輸入ライセンスを持つ弊社へお気軽にご相談ください。
-硝酸(劇物)
酢酸、硫酸に次いで古くから知られている酸の一つで、白金族、金以外の金属を溶かすほどの強酸性の液体です。任意の割合で水に溶けるため、「硝酸」という場合には、通常は水溶液を指すことが多いです。硝酸自体は消防法により危険物に指定されており、10%以上含有する溶液は劇物に指定されます。
工業的製法にはいくつか種類がありますが、現在ではオスワルト法と呼ばれる、「アンモニアを酸素により酸化させてから水に吸収させる手法」で生産されます。アンモニアを空気酸化させて一酸化窒素(NO)を生成し、一酸化窒素を酸化させて二酸化窒素(NO2)が生成され、二酸化窒素を酸化することで硝酸(HNO3)が生成されます。
硝酸(水溶液)の内、濃度の高い物を「濃硝酸」、低い物を「希硝酸」ということがあります。具体的な数値で明確な線引き・定義があるわけではありませんが、およそ20%~30%程度以下の濃度で希硝酸と呼ばれることが多く、60%~70%以上の濃度ならば濃硝酸と呼ばれることが多いです。濃度によって、やや異なった性質を示します。
肥料や火薬の原料となるニトロ化合物の合成、染料、顔料、化学繊維などの製造原料として使用されるほか、メッキや酸洗用、医薬品として収れん剤その他に用いられるまた、濃硝酸はアミン類と急激に反応分解するため、ロケット推進薬の酸化剤としても用いられます。