LFTP(長繊維強化熱可塑性樹脂)とは? 短繊維強化熱可塑性樹脂との違い
そもそもLFTPとは?用途は?
近年、特に自動車業界を中心に高強度・軽量化、コストダウンに寄与する部材への注目が増えています。そんな部材として今、日本の車メーカーだけでなくアメリカ・欧州でも注目されているのが、LFTP (Long Fiber Thermo Plastics)です。日本語では長繊維強化熱可塑性樹脂と訳され、業界用語では「LFTP」や「長繊維強化ペレット」などと呼ばれています。用途は大型成形品の部品素材が多く、自動車のデッキボード、業務用家具、農業機器などが挙げられます。
PP(ポリプロピレン)やPA(ナイロン)のプラスチックペレットに同じ寸法の強化用繊維が入っており、その名の通り耐衝撃性・剛性が強化されたプラスチックです。その強化繊維としては、ガラス繊維が最も一般的です。自動車業界ではまさにガラス繊維のLFTPが利用されています。より強度が求められる航空業界ではカーボン(炭素繊維)を強化繊維としたLFTPが利用されています。
繊維強化熱可塑性樹脂の作り方 / 短繊維強化熱可塑性樹脂との違い
短繊維強化ペレット(短繊維強化熱可塑性樹脂)とLFTPの違いはその製造過程で容易に理解出来ます。そもそも、繊維強化熱可塑性樹脂の作り方は、まずは樹脂を加熱し押出機で押し出すところから始まります。そして加熱された熱可塑性樹脂にガラスファイバーと樹脂プールで加熱しながら含侵します。その後、水で冷却しカット後、乾燥させます。
一般的によく聞く、“ガラス入り樹脂ペレット”とは細切れにされた硝子繊維を樹脂と混ぜ込んでからペレットにしており、これが短繊維強化ペレットにあたります。LFTPのようにペレットと同じ長さの繊維が入っているものを“長繊維ペレット”と区別して呼んでいます。 ベースとなる繊維や樹脂もグレードによって異なり、エンプラ、スーパーエンプラなどが使われるグレードも登場しています。
LFTPを用いた成形品の特徴は、第一に、その耐衝撃性です。一般的には、短繊維強化ペレットよりも衝撃に強く、一般のガラス繊維強化材と比べても優れています。またガラス繊維の割合もグレードによって異なるため(最大70%程度)、機械的特性が優れた成形が可能です。反りや変形も比較的しにくく、外観も短繊維に比較して美しいです。
国産を購入するべき?海外メーカーって品質どうなの?
国内のLFTPのサプライヤーは多くはありません。品質に自信を持つ国内メーカーはやはり高品質高価格なのが特徴です。価格メリットを理由に海外メーカーへの需要増加傾向です。例えば、日本の自動車メーカーの最新モデルに韓国製のLFTPがスペックインされています。韓国製は価格もグローバルスタンダードで、品質も極端に低いわけではないのが特徴です。用途によって求められる品質が異なりますので、国内・海外問わずまずは異なるサンプルを取り寄せ検証することをお勧め致します。