ガラスを越える素材 バサルト繊維とは

いま注目のガラスを越える素材 バサルト繊維の秘密に迫る

バサルト繊維とは

いまSDGs(持続可能な開発目標)に配慮した素材として世界が注目するのがバサルト繊維』です。バサルトとは、天然素材である玄武岩のことです。これを溶解炉で溶かし、射出・紡糸した繊維がバサルト繊維です。 主に中国やロシアの山脈で採れる玄武岩を繊維にし、日本へ輸出されています。チョップドストランド、ロービング、マット、メッシュ等、その製品形態は硝子繊維と変わらないものが多くあります。

バサルト繊維の特徴

世界がバサルト繊維に注目する理由は、耐熱・耐寒・耐候性の高さ、耐アルカリ性の特徴とリサイクル性の3つがあります。主に建築用繊維として最も流通しているガラス繊維は一般的に適用温度は-60度から450度と言われています。一方でバサルト繊維の場合、耐熱性は700度、耐寒性においては-260度と言われ、圧倒的な差があります。

 

バサルト繊維の用途

中国では、建築業界、とくに道路建設業界で補強材としての採用が進んでいます。一般的にコンクリート、アスファルトは温度変化によりクラック(亀裂)が発生するケースが多くあります。その強化繊維として バサルト繊維が積極的に採用され、耐熱性・耐寒性・耐候性において従来の繊維よりも優位性があることが一番の理由です。

近年、日本でバサルト繊維はFRPの強化繊維としての注目度が高いですが、中国と同様に道路業界でも注目されています。国内の道路建設会社も評価を進めており、暑さの厳しい地域では、特に太陽光による変形や劣化を起こしにくいといった特徴を活かし、寒さの厳しい地域では、その耐久性がコンクリートの耐久性向上に繋がります。また、地球環境の変化により酸性雨が多いと道路の状態を悪くしてしまいますが、耐アルカリ性の高いバサルト繊維を使用することで、大幅な劣化を防ぐことも可能です。その他の耐アルカリ性の特性を活かした用途として、基礎の鉄材の代替としてモルタルに混ぜられることもあります。

他にもニッチなニーズですが、その耐寒性の特徴を活かし、液体窒素タンクやパイプの断熱材などとしても利用されています。 また、鉱物繊維であるバサルト繊維は最終的に自然に還すことができるというリサイクル性の高さにも注目されています。硝子繊維は産業廃棄物として処理されますが、廃棄の際に炉で燃やすと溶けて固まり、炉の状態を悪くしてしまいます。対してバサルト繊維は炉で燃やすと砂状に戻り、自然へ還すことが可能です。今日もまさに研究中の素材であり、今後も多種多様な用途での採用が期待される素材です。